キアギス 続

定め…怒り…反乱…裏切り…消えた仲間

「領主の定め…?」

「そうじゃ。領主は村人達に無理な定めばかりつける。毎月100マイル払えだとか…」
100マイルは200万だ。

「そんなの払える訳無いじゃないですか!?」

「そうじゃ、払え無かったら繰り越しになる。一生内に払えなかったらその子が受け継ぐことになる。そして、領主は殺されるのを恐れ魔法の使用を禁じた」

ガラは治療しながら喋っている。

「コイツは…柚と申すのかな?柚はそれを知るはずも無く、領主に盾突いた為にぶたられていた少女を守ろうと魔法を使おうとした」

「それで破ったからこんな目に…」

俺は悔しくて憎くて強く拳を握りしめた。

「…手を怪我するぞ。…地下にサンドバックがある。気晴らしに行ったらどうだ?」

「…領主はどうしてこんな事を?」

ガラは肩をすくめた。

「知らぬ。ただ、噂によるとお告げを聞いたらしい」

「お告げ…?」

「街を…滅ぼせば英雄になれる試練が訪れる。と、ダーテと言う者が言ったらしい」

「ダーテ!!…その噂は本当みたいですね」

俺は静かに続けた。

「地下のサンドバック借りますね…」

俺は地下へと続く階段に向かった。



ボスッ バスッ

チクショ…

ダーテはどれだけの人を傷付ければ気が済むんだ!!

今までいろんな人を傷付けたのにまだこりないのか

柚をあんなに殴りやがって…

絶対許さねぇ!!

そして、怒りのあまり魔法を発動してしまった。

バシュッ

殴った反対側が破けて砂が飛び出た。

「オイッ!!今魔法を使ったか!?」

ガラが慌てた形相で下りて来た。

「はい…?」

「領主が来る!!言葉を聞かれるのは防いだが魔法までは防いで無いんだ!!」

ガラは治療済みの柚を背負いながら言った。

「何処へ逃げれば!?」

「さらに地下へと続く階段があるのだが誰かが閉めてくれなきゃ逃げられん…」

つまり、隠し階段の戸を閉める人が残らなくてはいけないらしい。

「俺が残る。魔法を使ったのも俺だし」

俺は精一杯笑った。

正直、怖かった。

俺より強い柚がやられた奴に勝てるのかって…。
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