キアギス 続
「あの、ガラさん。兄さんは?」

「もうじき来る。気が付いて自らの意思で来るかどうかは分からんが…」

「えっ…それってどういう…」

その時、柚達の居る丘に開いた穴の上に魔法陣が出て来た。

もう、お気づきだろう。

そう、魔法陣から紗月が出て来たのだ。

大人が二人立った状態でも淵に届かない位、深い穴に落ちたのだ。

「……兄さんっ!!?」

「ハッハッハッ!!まさか、そこに出るとはな。少しばかり改良が必要のようじゃな」

柚は駆け寄り、ガラは笑いながら歩いて来た。

「自力で上がれる?」

柚が聞くと…

「上がれるに決まってるよな?上がれなきゃ何の為のグロープだ」

と、ガラが答えた。

「…(風の力で我を上まで運べ)」

フワッ…

「ガラさん。わざとですか?全て、貴方が仕組んだんですか?」

紗月はガラを睨みながら言った。

「…わしは、頼まれたからやったまでじゃ。しかし、バレてしまっのだから、姿を現せたらどうだ?」

「良いよ別に、見えてるし。それより、何故柚に付き纏う?何故、柚を睨む」

風の音がなった。

「今、それは教えられない。柚が望んでいるかが分からないから。だって」

「柚。俺に何を隠してる?」

紗月は柚をしっかりと見て言った。

「……言えない。」

「どうして」

「殺される」

柚はそれだけ言って目を逸らした。

「……柚。実は、俺も隠してる事がある。だから、言わなかった事に対して自分を責めなくて良いからな」

紗月はそう言って、片方だけのグロープを手渡した。

「これは、神様から貰った。呪文を言わなくても魔法が使えるらしい」

「そう…なんだ」

俺はとりあえず、グロープをはめた。

バシュッ!!

「ッ…」

「柚!!?」

柚が手を抜くと、手は傷だらけだった。

「ガラスが…刺さってる」

このグロープは指の第二関節より、少し下の辺りまでしか無いやつだ。

「ガラス?見してみろ」

柚から受け取ったグロープには、硝子が隙間無く刺さっていた。
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