激甘男子の愛し方



だってここでその言葉を言ったら、すごくダサく思えたから。



――『つらい……』



なんて言葉……



でもそんな俺の感情を明良はいともたやすく読み取ったようで……



「元の関係に戻すのが一番だし、それがいいと思ったんだ。でも……」



「でも、お前はモヤモヤしてんだろ?」



「っ……」



「馬鹿なやつ」



いつもなら言い返すところだけど、何も返す言葉がなかった。



「なんでなんて、お前が一番わかってるじゃんかよ」



「……」



「真子ちゃんをもう、家族として見れないからそんなに苦しんだろ?」



「っ……」



元に戻った関係は、本当は何一つ元に戻ってないのかもしれない。



ただ表面上の、上辺だけの関係にしか戻ってないのかもしれない。



< 135 / 339 >

この作品をシェア

pagetop