激甘男子の愛し方


「……帰るか?」



「……えっ!?」



まさかの申し出に、無視をしていたのも忘れて振り返る。



「勝手に予約して悪かったな。俺は真子が喜んでくれると思ったんだ」



隣に座っている洸の顔は、とても悲しそうに歪んでいた。



「初デートだから記念に残ることしたくてさ……。でも、真子の事情ってものもあるよな」




「っ……」



だんだんと俯いて話す洸に、胸がキュッと締め付けられる。



そうだよね……



洸はあたしのことを思って、この部屋を準備してくれたんだもんね。



考えてみれば、チケットだって前々から頼んでくれてたみたいだし、この部屋だって洸が汗水流して稼いだバイト代で出してくれてるんだもんね……



なのにあたし、洸の気持ち何も理解しようとしてなかった……




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