激甘男子の愛し方
「真子」
「洸……」
カバンを肩に掛けて、ドアの所に向かおうとしたあたしに声をかけてきた。
「……あいつと帰るの?」
「あっ、ちょっと用事があって……」
「用事って何の?」
「何って……」
なんて言えばいいの?
チョコの試食をしにいくなんて言っても、意味が分からないだろうし。
それを聞いて洸が許してくれるなんて思わない。
でも、大倉君に恩があるのは確かだし……
こうなったら説得を兼ねて、一から説明するしか……
「行けば」
え……?
「こ、洸……?」
さっきと明らかに違う声色に、体が一瞬にして強張った。