シュガーレスキス
「もう定食残ってないかもしれないね。このまま外食に出ない?」

 こういう誘いをされるのが一番困る。
 私がまた早食いして逃げるとでも思ってるんだろうか。

「いえ、私は納豆とご飯でもいいので。食堂にします」
「予防線きついなあ。相当信用されてない?」

 本当に傷ついたような顔をされてしまうから、私も動揺する。
 外食をしたぐらいで何かされるとは思ってないけど、何といっても八木さんの人気は相変わらずで。
 私が一緒に食事をしているというだけで、裏で相当ブーイングが起きているらしいのは聞こえてくる。

「じゃあ、食堂にしようか」

 そう言われて、食堂がある3階まではエレベーターを使う。
 階段で上がっても良かったけど、たまたま空のエレベータが来たから、それに乗った。
 普通に3階を設定して上る。
 こんなの一瞬の出来事だ。エレベータで3階に着くまでは数秒しかかからない。
 なのに、運命のいたずらというか……どういう事なのか、唐突にエレベーターが止まった。
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