シュガーレスキス

1-2 混乱

 好きだからこそつく嘘。

 愛してなければ、とうていつけそうもない嘘。
 嘘をついてまで相手を思いやる……そういう愛もある。



 聡彦が気を失った状態のまま一日が過ぎた。
 内出血などは無いとの事だったけれど……意識が戻らないのが心配で、私は病院につききりだった。
 途中で沢村さんも病院にやってきて、聡彦の様子を見て涙を浮かべた。

「私が、あんな無茶な方法で資料を引っ張り出したりしなければ……」

 相当自分を責めているようで、私は彼女を励ますしかなくなった。

「でも、聡彦がいなければ沢村さんがどれだけ大きなダメージだったか……。この人は丈夫に出来てるから、きっと明日には“おはよう”なんて言って目を覚ますわよ」

「だといいですが……本当にごめんなさい」

 沢村さんって、どういう子なんだろうとずっと気になっていたけれど、直接話してみたら嫌味の無い素敵な人だった。
 変な話し、聡彦がこの子に揺れてもおかしくないだろうなって思わせる好感度があった。
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