シュガーレスキス
「聡彦、何か誤解してるの?」
「如月と抱き合ってる菜恵を見て、俺が普通でいられると思うか?」

「……」

 誤解を受けるようなシチュエーションを見せてしまったのは私が悪かったと思う。
 聡彦だってきっと私と如月さんの間には何も無いと分かっているはずだ。
 でも、聡彦の性格は、こういう時に暴走してしまうのを私は良く知っている。
 まずい……予想外の場面で「ツン」が復活してしまった。

 聡彦は拳を強く握って、棒立ちになっている。

「後藤さん。もう休んだ方がいいんじゃない?とにかく……部屋まで送るから」

 如月さんはそう言い、私の肩を抱えてアパートに向かって歩き出した。
 聡彦は、もう私の腕をつかもうとはしなかった。

 後悔しても遅い。
 私は聡彦の心を少しだけ疑っていた。
 それを……今、思いがけずダイレクトに突きつけてしまった。

 聡彦を……傷つけた。
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