シュガーレスキス
「で、舘さんは菜恵を好きなの?どういう理由で一方通行の連絡方法になってるの?」

 何度も聞かれたこの質問。
 それは私も聞きたい。

「いつまでもそんな関係続けてたら菜恵にまともな彼氏出来ないよ。せっかく24歳っていうちょうどいい年齢なんだしさあー…………もっと有意義な異性関係を築いた方が良くない?」

 沙紀のいう事が当たっている。

 私は聡彦をハッキリと拒絶する必要があるんだろうな。
 このまま意味もなく振り回されていても、ただ年を重ねるだけになってしまう。
 30歳前には結婚したいなと思ってる私としては、いくら好きな人でも、本当に愛情があるのか分からない人にいつまでも縛られてるのは嫌だ。

 弱みって言っても、別にたいしたことでもないから、それを公にされても本当はかまわないんだけど。
 それでも、私のイメージが若干変わるかと思うと、それを会社で晒されるのもつらい。

 どっちにしろ、今夜も私は聡彦の言いなりになるしかないんだ。

「あんたたちが微妙に付き合ってるっぽいっていうのは結構噂になってるよ。でも舘さんって女性に超冷たいじゃん、だから何で菜恵にだけ声かけるのか皆不思議がってるし。私もその理由が知りたい」

 お弁当の空を片付けながら沙紀はそう言う。

「あ、私に対しても別に優しくないよ。俺様だし、私に愛情があるとは思えない」

 キスはされるけど、あれが愛のある行為なのかと言われると、ちょっと分からない。
 でも沙紀にはキスされたなんて言ってない。
< 3 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop