シュガーレスキス
 2年前、受付に美人が入ったと聞いて何となく覗いた資料館。
 確かに綺麗な子が二人並んでいた。

 一人は明らかな美人顔で、鼻が高くて目がパッチリの芸能人タイプ。
 もう一人はちょっとポーッとしてる感じで髪がふわふわしたメルヘンちっくなロリータタイプだった。
 この段階で俺は別にどっちにも興味が沸かなかった。
 顔とかスタイルで付き合う女を決めるなら、正直全く不足してないほどお声をかけてもらえる。
 でも、俺はほとんどの女性にいい返事は返さない。
 付き合っても何度か一緒に食事とかしてるうちに冷めてしまうという……。
 まあ、多分「サイテーな男」という評判は多かれ少なかれささやかれているに違いない。

 こんな俺がある日ポーッとした方の受付嬢を外で見かけた。

 金髪のカツラで嬉しそうに歩いているのを見て、正直仰天した。
 俺は自分がマックオタクだという認識があるから、ああいうアニメに没頭する人たちの事も支持していて、密かに羨ましかったりした。
 喜びを分かち合える人がいるっていうのは、楽しさも大きくなるだろうし、俺だってマック好きな人と出会えば多分嫌でも話がヒートしてしまうだろう。
 そういう事から、俺は一つのものに情熱をかけている「後藤菜恵」の方に興味が沸くようになった。
 試しに誘った飲みで、彼女が思ったより面白い受け答えをするのが気に入った。
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