あの夏の季節が僕に未来をくれた
でも兄貴はこのこと知らないわけだから、先に帰っちゃうことも有りうるわけで。


それは何とか避けたい。


だから兄貴の立場を悪くしないためにも、今言っとかなきゃと思った。


「ほら、最近俺、よく記憶なくすだろ?

またそんなことになってお前を置いてけぼりなんてことになったら、洒落になんないからさ?

悪いけど、確認して欲しいんだ」


佐伯の答え次第では、俺の返答も変わってくる。


(お願いだ!うんて言ってくれ!)


「まあ、別にいいけどさ……

でもあれか?まだあんときのこと気にしてんの?

だったらもう気にすんなって言ったろ?」


良かった……


そっちを気にしてくれてたんだ。


ほんとやっぱ佐伯っていいやつかも。


「あぁ、わかってるって!

もしもの話だよ……

俺の変な言動でお前に愛想つかされたくなかっただけだから」


「ばーか!んなわけねぇだろ?

お前の変なとこなんか今に始まったことじゃないだろが」


佐伯の憎まれ口にも愛情がこもってるのを感じて俺は兄貴の分まで嬉しくなった。


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