麗しの彼を押し倒すとき。
「ちょ、聞いた!?細谷先生結婚すんだって!」
「マジで!?ありえねー!」
声が交じる。飛びかう。
「なぁ、お前今日来いよ!あいつ彼女できたから来ねぇとか言ってんの!」
「はぁ?てか俺今日バイトだっての!」
「そこを頼むって、マジで!」
これが共学の学校なのか、と物珍しさに少し立ち止まってしまった。
さっき道で見かけた彼も通っているらしい学校。その校門の前であたしはポカンと口を開いて突っ立っていた。
家から歩いて約10分。駅からもそんなに離れてない。
立地のいい場所に建てられた校舎は前の女子校に比べ、少し大きく見える。
久しぶりに踏みしめる土地、初めて通う学校。やっぱりこの瞬間は何度経験してもなれることはない。
これもきっと、人生で最後の編入。
晴れてあたしも転勤族からさようなら。
今日からはハッピーライフ!
そう大きく息を吸い込んだこの5秒後、私はさっそく悲劇に見舞われた。