ヤンヤンデレデレ
「私と一緒なのに、誰かと電話するんですか……」
犬耳があれば、しゅんと垂れていよう誉を腕でぎゅうっと抱きしめつつ、ごめんと苦渋の選択をした瑞希は口にする。
「年甲斐なく絵文字を使う敵を、俺と誉の世界に侵入なんかさせたくないから」
「んん?」
「“先生”が電話をくれって」
「私がしますっ」
はい、と挙手した誉にスマフォを持たせなかったのは、単なる嫉妬だ。
夜にまで、先生(俺以外の奴)と会話させてなるものか。しかして、選手宣誓よりも元気に「はい、はい!」と言う誉を無視するわけにもいかない。
「じゃあ、俺の近くで通話して」
既に誉は自身の膝上――一人掛けソファー二人座り状態ならば、嫌でも密着する。それでもなお、間を詰める誉は瑞希の言うことに従順であった。