弱小バスケ部の奇跡
帰る支度をしている最中、あたしは聞いてしまった。
〝ねーえ千鶴。あんた試合前M中の奴と話してたけど、なに?〟
〝知らな。誰って感じ〟
〝え、なに。知らない奴と話してたの?〟
〝ウザいから突き離しといた。握手とかも求められたし。マジあいつ論外!〟
〝やーだぁ、なにそれぇ。キモーイっ〟
同時に、下品な笑い声。
あたしは、ぐっと唇を噛み締めてその場を立ち去った。
握り締めた拳。
爪が痛い。