弱小バスケ部の奇跡
「…っえ? なになに? なにコレどしたの?!」
「あっ、美凪!」
泣きじゃくる蒼乃の後ろからやって来たのは、大谷 美凪(おおたに みなぎ)。
頭はいいのに、なぜかイジられキャラ。
たまに、面白いことを言おうとして言ったらガッツリスベる。
それなのにめげない美凪は、ある意味凄い。
いつも尊敬の眼差しを向けております。
「蒼乃が、後輩来てほしいって泣いてんの」
「えー、そうなの? じゃあウチが蒼乃の後輩になるよー♪ 蒼乃センパーイ♡」
「「「………。」」」
……泣く子も黙る、意味不明発言。
「えっ? なんで黙るの?」
あたしは無表情のまま目を細めて、美凪を見る。
「ちょっとやだなぁ〜、なにも黙らなくたっ…ぅおっ!? ななな棗さん?!」
あたしの視線に気づいた美凪が、大袈裟にリアクションする。
「ちょっと棗ちゃーんっ、そんな目でウチを見ないでおくれよー」
そう言って美凪はあたしに駆け寄る。
「面白いこと言うならちゃんと勉強してきてよ。蒼乃泣き止んじゃったじゃんか」
抱きつこうとしてくる美凪を、なんとか手で制す。
「あっ♪ 蒼乃泣き止んだぁ」
あたしは反対の手で美凪のほっぺたをむにっとつまむ。
「あはははははッッ!! 棗ちゃんと美凪ちゃん、ちょーウケるーーッッ」
あたしと美凪のやり取りを見て、なぜか和香は大爆笑。
……一体、これのどこが大爆笑なんでしょうか。