君だけの星へ
「さってと、俺はそろそろ行こうかな~」



追加で頼んだモンブランを、ちょうどわたしが食べ終えた頃。早瀬さんが腕時計を見ながらそう言った。

そのとなりの桐生さんも、「それじゃあ俺らも帰るか」と呟く。

手をあわせて“ごちそうさま”のポーズをしていたわたしは、うなずいて同意を表した。



「あ、そうだ世莉ちゃん」

「はい?」



3人でレジに向かう途中、思い出したように声をあげた早瀬さんに呼び止められた。

振り向くと、片手に持ったシルバーのケータイを軽く振っている。



「アドレス交換しよ?」

「あ、いいですよー」



にっこりと首をかしげながら言われ、わたしも笑顔で了承してケータイを取り出した。



「はい、赤外線ー」

「はーい」

「……おい」



すると少し前でレジに並ぶ桐生さんが、不機嫌そうに眉を寄せてこちらを振り返ってくる。
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