君だけの星へ

その、微笑みは



『人生はチョコレートの箱のようなものだ。開けてみなければ中身はわからない。』


         映画:フォレスト・ガンプ



   ◇ ◇ ◇



「……あの、桐生さん」

「ん~?」

「桐生さん、ちょっと」

「あ~?」



こちらの呼びかけに、返ってくるのは生返事ばかり。

桐生さんはベッドに腰かけ、手元の本に視線を落としたまま、さっきからわたしの言葉にちゃんと反応してくれない。


なんなのもう、人には「このページ解き終わるまで休憩なし」とか言っておいて……!

わからないから質問したいのに、のんきに小説読んでるし!


その態度がおもしろくなくて、思わずムッと眉を寄せた。



「……バーカ」

「おいこらクソガキ今てめぇなんつった」

「ヒッ!!」



自分にとってどうでもいいことはスルーするくせに、暴言はしっかり耳に入れる桐生さんにビクッと肩をはねさせる。

どうしても彼に反抗しきれないわたしはおとなしく押し黙り、しぶしぶ問題集に目を戻してシャーペンを握り直した。
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