君だけの星へ
「きっ、桐生さん、桐生さんっ!」



なんだか泣きそうになりながら、わたしは慌てて彼の身体を揺すった。

ぴたりとうわごとが聞こえなくなり、目元を隠していた彼の手もずれて、薄くまぶたが開く。



「あ、よかった、きりゅうさ……ッ、」



そして、わたしがホッと安堵したのもつかの間。

彼のうつろな目がわたしの姿を捉えた瞬間、ぐっと強く、身体を引き寄せられた。



「え……っ?!」

「……ッ、」



一瞬、自分に何が起こっているのかわからなかった。

ふたり分の重みでベッドが軋み、すぐ耳元に、桐生さんの荒い息づかい。

ぎゅうっと強い力で、わたしは彼に身体を抱きしめられていて。

息が、つまる。



「え、あ、き、桐生さん……?!」

「………」



後頭部と腰にまわされた手が、力強くわたしを抱き寄せている。

わたしはというと完全に混乱して、ただ彼にされるがまま。

だけども数秒後、唐突に、今度は勢いよく身体を引き剥がされた。
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