君だけの星へ

この熱が示すもの



『愛に対する治療法は、より愛する以外にない。』


       ヘンリー・デイビッド・ソロー



   ◇ ◇ ◇



「……え? 同窓会?」

「そうなの~」



目をまるくするわたしの言葉に、お母さんはにこにこと返す。



「高校時代の同級生たちとね。夕方からなんだけど、お昼には友達と待ち合わせるから……世莉には悪いんだけど、ごはんは自分で作るか外食でお願いね」

「うん、まあ、それはいいけど……それっていつの話?」

「ん? あさって」



いたってあっさりとしたお母さんのこたえに、わたしは「はあ?!」と思わず声をあげた。

だってだって、その日は……!



「あさって、って……今週の土曜日?!」

「そうねぇ」

「『そうねぇ』って……っその日はわたしカテキョだよ?!」

「あら、別に関係ないじゃない。私が勉強するわけでもあるまいし」



もっともなお母さんの返答を聞いて、ぐっと言葉につまった。

だ、だけど……っ! いくら部屋には入ってこないとはいえ、同じ家の中に誰かがいるのといないのとじゃ、心持ちがまったく違うわけで……っ!!

つまりは、その日……桐生さんと、ふたりっきりなの?!



「そういうわけだから、よろしくね? 世莉」

「………」



い、いろいろと大丈夫かなぁ、わたし……。
< 67 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop