僕と再婚して下さい。
オレの住むマンションに近づいて来た頃、

「慎吾、あたしを送って行くの忘れてるよ?」

なんてことを舞が笑いながら言った。

オレは何も答えず、車を走らせ自分のマンションの駐車場に車を停めた。


「慎吾?」

「──今日、泊まっていけよ」

「えっ?」

「舞と離れたくないんだ。一緒にいたい。また一緒に眠りたい」

「でも明日、仕事だし、それに…」


おそらく、舞の中に浮かんでいる人物は澤村さんだろう。

舞を記憶喪失にしてしまいたいと心の底から思ってしまった。

そうすれば澤村さんのこと忘れてしまえるのに。
< 307 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop