堕天使
舞はある店に入った。


そこは高校生が入るような場所ではない。いわゆるバーだ。


中に入りカウンターに座る。まだ、誰も来ていない。昼だから。


陽「いらっしゃって舞じゃん。どうした?」



舞「陽さん。」



舞は陽に抱きついた。



そして、泣いた。



舞「私どうしたんだろうね。」



陽「舞?何かあったんだな。話して。」


陽はいつも舞の話を聞いてくれる、優しいお兄さんだった。
陽にだけは心を開ける事ができる。何故かわからない。ただこの気持ちは、何なんだろう。


舞「うん。」


舞は昨日の事を話した。でも自分の親の事は言っていない。



陽「そうか~。そんな事があったんだ。」



舞「私は橘にとって何なんだろうね。私っていらない子なのかな?」

パチーン


陽「そんな事俺の前で二度と言うな。俺はお前がいて良かったと思っている。」


舞「私は何もしていないよ?」



陽「お前は、ずっと笑顔でいて、俺には自分の気持ちをはっきり言ってくれる。それは、俺が舞に信用されたってことなんだ。俺は昔からみんなより出来が悪かった。でも、舞は、舞だけはいつも味方でいてくれた。それだけで良かった。それだけでも十分なんだ。」


舞「陽さんありがと。私は、生きてていいの?」


陽「当たり前だ。死んだら、お前の父さんと母さんが悲しむぞ。」





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