片恋



「あ、かえってきた。
 遼平くんかも。」


バタンとドアの閉まる音が
玄関の方から微かに聞こえ

じっとトランプを
にらんでいたシュウ君が、

ぱっと明るい顔を上げた。


私の呼び方がうつって、
「遼平くん」と言うように
なってしまったけれど、

シュウ君は、
遼平君の一番下の弟だ。

小学5年生にしては珍しいくらい、
まっすぐ素直でとてもかわいい。


少なくとも亮介(リョウスケ)なら、

この頃には完全な
悪ガキだったはずだ。

ガチャッとリビングのドアの開く音がし、

振り返るとそこに、
亮介が立っていた。

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