葉桜~late spring days
 今日行く場所がお墓であること、お墓参りに付き合ってほしいということを聞いた晴香は、ビックリしながらも、最初想定していたどん引きという感じはなかった。むしろ逆に拓人についての話をしてほしいと言ってくれた。

 奏太にとって大事な友だちのことを、もしよかったら教えてほしいと言ってくれた。どん引きするんじゃないかというのは、僕の勝手な思い込みだった。僕は、どこから話せばいいかまとまらないけれどもと前置きをして、拓人のことを話し始めた。

 家が隣で、保育園から一緒の幼馴染であること。拓人の2個上の兄である大和を含め、3人でよく遊んでいたこと。

 小学校に入ってから、拓人は野球を、僕はピアノを始めたこと。そのことで遊ぶ時間は減ったけれども、相変わらずつるんで、いたずらをしたり、一緒に出かけたりしていたこと。

 4年生になって、ピアノと並行してクラリネットを始めたこと。
拓人と大和と3人で高校野球の予選を観に行ったこと。

 「あれ?」

 僕の家からの最寄駅に近づいたとき、駅にいたまさかの人物にビックリして話を中断してしまった。大和だった。
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