葉桜~late spring days
心の中
 奏太が鎌田さんと幼馴染だったなんて知らなかった。

 名前を聞いた時、同じ名前はあまりいなそうだから、もしかしたらそうかなと思っていたけど、拓人さんの話を真面目にしていたので、聞けなかった。でも、当の本人が来たので2人そろってビックリした。

 「どこまで話した?」
 「小5の夏休みに高校野球の予選を観に行ったとこまで」
 「そうか…」

 それを聞いて、2人そろってため息をついていた。短い沈黙の後、口を開いたのは奏太だった。奏太は拓人さんとの話の続きを話してくれた。

 奏太と拓人さんはその予選を見て一つの約束をした。

 同じ高校に行って、拓人さんは甲子園を目指すこと、奏太はスタンドで応援の演奏をすること。

 「絶対な、ってね。どこの高校にするかとか、中学入る前から決めてさ。一緒に行けるって信じて疑わなかった。あの頃は、ホント単純に何でも信じることができてた。」

 ただ、その約束はかなわなかった。
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