ボクとキミとの距離

手紙(あとがき)

「キミへ。  ボクは間違っていたのかもしれない。でも・・・ボクのキミに対する気持ち・・・それだけは真実だった。」





12月30日。




大晦日を次の日に控えた大雪の日だった。




朝、いつものように監守がドアから中を覗くと・・・




あたり一面が血で溢れていた。




見つからなかった凶器を握りしめ
首から大量の血を流し
一筋の涙でマツゲを濡らした青年。




彼は土色の壁にもたれながらひっそりと最期を迎えていた。




質素な部屋のなかで一際目立つ短い足の丸机・・・




その上には一枚の真っ白な紙が置いてあった。




「キミへ。  ボクは間違っていたのかもしれない。でも・・・ボクのキミに対する気持ち・・・それだけは真実だった。」




丁寧な細い字で。




ただそれだけの手紙。




23歳の青年だった。
< 61 / 71 >

この作品をシェア

pagetop