黄昏に香る音色
健司の音。

そう言えば、

あたしは、彼のことを知らない。

明日香は、徐にCDを手に取り、

ケースから、ジャケットを取り出した。

ジャケットを開けた。

そこに載っていたのは、若き頃の恵子と、健司の写真。

寄り添うとも、離れてるとも、言えない微妙な距離で、

2人は、微笑みながら写っていた。

明日香は、ページをめくり、メンバーの名前が書いてあるページを探す。

あった。

武田隼人。原田幸喜。井守高次。

そして、速水恵子に、阿部健司。



「阿部?」

明日香は思わず、名前を口に出した。

大好きなアルバム。夢のような音を奏でるアルバムだったから…

明日香は、あまり歌とトランペットの音以外、興味を持っていなかった。

明日香にとって、名前なんて…音よりは重要ではなかったのだ。

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