ヒミツの恋【短編集】

オトナの事情

口を離して、濡れた私の唇を親指でクイっと拭いそして車へと乗せ、シートベルトを付けてくれる。





ボーっとしてた頭が、車が走り出して少ししてようやく働きだした。




誤解って、…何が?




どうしてキスしたの?





…あの女のヒトは放っておいていいの?





聞きたい事はたくさんあるのに…






「…どこに行くの?」






私の口から出て来た単語はそんな言葉だった…






聞く勇気がない…






何普通に話しかけちゃってるんだろ…





『…落ち着いて話せるトコ。』






前を向いたまま運転する和弘はそれきり押し黙るから、私もそれ以上何も聞けなくなっちゃった…
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