ヒミツの恋【短編集】
その中川君が今私の目の前にいて…
小さい私を見下ろす様に見ている。






顔まで引き攣ったまま固まってしまって、動かない…





そんな状況でも保健室内から聞こえる女の人の喘ぎ声…





『…盗み聞き?』





中川君は鼻で笑うように小ばかにしたような感じで聞いてくる。






カアっと赤くなる顔。恥ずかしさと中川君が恐くて溢れそうな涙…





「ち、違…」






『じゃあなんでこんな所に…』





そう言いかけて中川君は言葉を止めた。






『お前っ!手!すげー出血!!』





私の怪我した手を掴む中川君に体がビクッと震える。





途端に聞こえなくなる、保健室内の喘ぎ声。






ヤバ…






中川君の声が大きくて気付かれた?






中川君もそれに気付いたのか、焦って掴んだ私の手を引っ張る。





『おいっとりあえず逃げるぞっ!!……って!!』






動けないのに思いきり引っ張られて、転倒した私…






膝を思い切り廊下に打ち付けてしまった…






「痛いっ!!」
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