RAMS
ドアが開く。

「まったく、先輩に対して“てめー”とはなんだ。キャメロン・アン・モーガン?」

そういっている青年は、少し長めの髮に一重瞼。ジャケットのポケットに手をつっこんでいる“風切”なるひとだった。

「羅那!」

初めにそう言ったのは桜湖だった。

それに続いて、

「羅那先輩!?」「なんでこんなとこに?」「あ!」

といったのは、樹悸と詩菴と桃愛。
誰?といった様子で“風切”を見ていたのは梨李芽、しゃべりたくもないといった様子で黙っていたのはカミーだった。


「まぁまぁ、落ち着いてくれよ!みんな一気にしゃべりすぎ。」

と手を振って苦笑している。「まぁ、そうだな...とりま、桜!」

桜湖もくすくすと笑っていた。

「みんなどうしたの。今思うとキャラ濃すぎ笑
 紹介しとくね、この人風切 羅那 (かざぎり らんな)。
 まえ言ってた1つ上の彼氏。男子バスケ部だから、樹悸君と詩菴君と涼君、それからマネージャーだから桃愛も知ってるよね。」

詩菴は返事の代わりに、羅那と桜湖が軽く笑いあったのを見て

「桜湖さんって羅那先輩のカノジョ...あ―――だから部屋に―――――...なるほど」

と呟く。
そんな詩菴のつぶやきを無視して羅那は桃愛の顔をじーっと見つめる。

「かわいいね。じゃあこの子は“桃ちゃん”?」

それに、桃愛は驚きながらも頷く。そんな桃愛に桜湖は説明した。

「あたしが羅那に話したの。桃愛は“女優レベル”ってね。」

言い終わると、羅那は“桃ちゃん”に向かってウインクをする。
桃愛のときと同様に梨李芽の名前を当てる。

「さぁ、樹悸?」そういうと、羅那はかがんで、樹悸の顎を持ち上げると言った。

「お前が女を弄ぶには100年はやい!」

そして、今までくっついていた梨李芽と樹悸を引き剥がすと、こんどは梨李芽の顔をみて言った。

「へぇ~樹悸って彼女いたんだ~♪しかもこんな可愛い。りっちゃんってお人形さんみたいで抱きしめたくなる~」

梨李芽の黒髪に顔をうずめ実際に抱きしめているようなないような...

カミーはそんな羅那を凝視し、桃愛はさくの彼氏の方がキャラこいじゃんと言いたげな顔をし、詩菴は無言でつっ立っていた。

「ごめん、帰る。」カミー突然立ち上がるり、みんなの前で両手を合わせて“すまんポーズ”をしたあと、部屋を出ていこうとした。

が、羅那はそのカミーの前に立ちはだかり言った。

「キャメロン・アン・モーガン?」

「...その呼び方はやめて。」

「なぜだ?俺は俺なりに人を呼ぶ。それは俺の勝手だろう?」

羅那はぱっとカミーの腕を掴む。

「わたしのことなんも知らないくせにッ」

カミーは少し大きな声で言い放つと、掴まれた腕を振り払った。

2人の突き刺すような視線が交差する。
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