RAMS


その日は午後から突然どんよりとした天気になり、雨が強く大地に打ち付けていた。

「傘忘れたー」

そんな生徒の声がちらほらと聞こえる。

そして、蓮もまた“そんな生徒”の中の一人だった。

「傘忘れた。りいかゆも入れて」

「「いいよ」」

と2人の声がハモる。
2人のあいだで微かに悪い空気が流れたが、そんなこと気づかない蓮は笑っていう。

「片方でいいんだけどな笑」

そんな蓮に突然柚萌が言った。

「好きな方の傘に入るってどーよ。両方好きじゃないなら濡れて帰りな?」

「柚萌、なにいってんだよ笑」

「そうしよ。」

梨李芽も同意する。

「マジで言ってんの?!」

そう言って驚いた顔をする蓮を、二人は黙って見つめた。

少しの沈黙のあと、蓮は言った。


「俺は...ゆもには悪いけど、りいの傘に入るぞ。
 俺、りいのこと好きだ。」

そんな言葉に驚いて

「ウチも好き!」

と梨李芽。

「待ってよ。あたしだって...」

「ごめんな。ゆも」

「う、ううん、大丈夫。
今日からは二人で帰りなよ。あたし邪魔でしょ?」

「ゆも、なに言ってんだよ。俺は今の関係崩したくねーから3人で帰ろう...な?
りいもいいだろ?」

「当たり前じゃん」

「ありがとね。でも今日はとりあえず用事あるから二人で帰りな。」


そう言って、柚萌は家とは別の方向へ行ってしまった。

この時うちは、柚萌がなにを考えてたか全くわからなかった。

2人で帰ってる途中、蓮のケータイが震えた。


ケータイを見ると、蓮は

「呼び出しくらっちまった。わりぃなりい。」

と言って逆方向へ走っていってしまった。
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