あの加藤とあの課長
目を覚ますと、冷ややかにこちらを見る瞳と目が合った。



「おはようございます…。」



覚えてるところと、覚えてないところが点々と。



「悠々と寝やがって。」

「す、すいません…。」

「…朝からでも抱きたいくらいだが。」



思わずビクッと肩が跳ねたのを見て、生渕さんは拗ねた表情をした。



「残念ながらそんな時間もない。」



時計を見ると、確かにそんな時間もなくて。

最後に露天風呂入りたかった…。なんて思いながらのそのそと起き上がった。



「陽萌。」



呼ばれて生渕さんの方を向けば、「おはよう」の言葉とともにキスが降ってくる。

朝から、甘い。




「何よー、全然平気そうじゃない。」

「え?」



朝食の席で、私たちを繁々と眺めながら、敏ちゃんがつまらなさそうに言った。

今日は男の格好だ。



「昨日源ったらね、アタシのとこ来て弱音吐きまくりだったのよー?」

「おい!」



嘘。あの生渕さんが?

思わず生渕さんをまじまじと見つめていると、彼は居心地悪そうにそっぽを向いた。


あの、可愛いんですけど。
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