あの加藤とあの課長

駆け巡る悪夢

朝会社に着くと、心なしか社内が慌ただしかった。



「何かあったんでしょうか…。」



仕事モードに切り替えて隣を歩く源に問いかけると、源も首を傾げるだけだった。


同棲を始めて、こうして一緒に出社するようになって、早1ヶ月。

冬支度が始まったような頃。


老若男女問わずの挨拶に応えながらオフィスに足を進めた。



「おはようございます。」



オフィスに入っても、やはりオフィス内も心なしか慌ただしかった。

首を傾げる私が部長に呼ばれたのは、朝礼が終わった直後だった。



「加藤、ちょっと。」

「はい。」



会議室に入ると、部長は深刻な顔をして、私に問いかけた。



「お前、何をしたんだ。」

「…と、言いますと。」

「お前に内示が出てる。」

「内示…?」



眉をひそめた私に、部長は険しい表情を崩すことなく告げた。



「大阪支社への、出向だ。」

「!」



出向…?
大阪に…?



「生渕くんや俺ならまだしも、なぜ君なのかと思ってね。」

「……。」

「まぁ、成長に繋がることは間違いないんだがな…。」



思い当たることは、ただ1つ。

(専務と常務…。)
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