あの加藤とあの課長
気になって作業に集中できそうもなくて、源におねだりしてみた。



「源…、気になる…。」

「……。」

「源ー…。」



しつこく繰り返すと、源は盛大に溜め息を吐いて言った。



「お前、疲れたときはチョコだとか言ってただろ。」

「…それっていつの話?」



思い当たる節がなくて首を傾げていると、源は観念したようにスラスラと言い出した。



「…陽萌が本社に来てすぐ。」

「…ふーん。」



その考えは変わっていないものの、さすがに4年前のことは覚えていない。

……って…、ん?



「源…、それって…。」

「…お前が本社に来て以来、俺の鞄の中には常にチョコがある。」



込み上げてくるものを隠すように源に背を向けると、源は小さく溜め息を吐いた。



「…気持ち悪いとか言うなよ。」

「ん? うん。ふふっ。」



嬉しいような、こそばゆいような、ニヤける顔と漏れる笑いが止まらない。



「…そういえばさ、源ってそんな前から私のこと好きだったの?」



首だけで源を振り返って訊ねると、源はハッとしたような表情を見せた。

かと思うと、ふいっとそっぽを向いた。



「うるせぇ。」

「ふ、ふふっ。」
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