あの加藤とあの課長
「なぜ君と源くんの破局が社内報に掲載されたのか。」



心臓の音が耳のすぐ側でする。



「私が薦め、許可したからだよ。」

「もう止めて…。」



やっとのことで出た声は、ひどく掠れていた。



「なぜ源くんが海外研修になったのか。」

「っ…!」

「彼が私の娘との話を、前向きに考えてくれているからだよ。」



もう、聞きたくない。



「分かっただろう。君は始めから、私の手の平の上で転がされていたに過ぎないのだよ。」



社長に言わせれば、私はただの邪魔者。
じゃあ、源にとっては…?



「最後にもう1度言おう。源くんと、別れてはくれないか。」



手足が震えて、目の前が真っ暗になった。

もう、何を信じていいか…、分からなくなりそうだ…。


そのあとオフィスに戻った私は、ただボーッとパソコンのディスプレイを眺めていた。
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