あの加藤とあの課長
「社長が、今回迷惑かけたお詫びにって教えてくれた場所だ。」



そう言って私の手を握り進んでいく。

源が突然足を止めた。足元を見れば、か細い小川が足元を流れていた。



「社長が…?」



不思議に思って源を見上げれば、私を見下ろす瞳と目が合った。



「……陽萌。」



腕を引かれて、そのまま源の腕に寄り添う形になった。



「……こんなに惚れ込むなんて、思ってなかった。」



溜め息を溢すかのようにふっと笑う。

愛おしいものを見るかのように細められた瞳は、真っ直ぐに私を見つめる。


私の手を握る源の手に、グッと力が込められた。



「俺はこれからもずっと、お前と……、陽萌と、生きていきたい。」

「源…。」



とそのとき不意に、辺りが明るくなった。

パッと勢いよく顔を上げれば、目の前に石造りの教会があって、それに取り付けられた電飾が輝きを放っていた。



「……綺麗。」



言葉が溢れ落ちた。

そんな私の空いている方の手を繋いでいない方の手で握ると、そのまま私に真っ直ぐ向き直った。



「…陽萌。」



光に照らされたその横顔があまりに綺麗で、息をするのを忘れそうだった。
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