あの加藤とあの課長
グレーのオフショルのサマーニットに、黒のタイトミ二。

男だらけのこの場には刺激が強かったかな…。



私がステージに立つと、広間の照明が小さくなって、私にスポットライトが当てられる。

うわー、プレゼンみたい…。



一曲目はかっこいい感じの曲をセレクトした。

新しすぎず、古すぎず、この場にいる誰もが分かるような曲。


ちなみにダンスが…、少しエロかった。けどまあ、ウケはいいし、気にしない。



こうして歌って踊っている間は無になれるからいい。私の好きな時間。


一曲目を終えると、まさに拍手喝采。

(よかったー…。)


これでウケが悪かったら…、どうなることか。毎年1人はいる残念な人を思い浮かべて身震いした。



二曲目は同じく盛り上がるよう、テンポのいい洋楽にしてみた。

実は、昔何度かホームステイとかしてるから英語は得意なんだよね。



「アンコール!」



二曲目を歌い終えたとき、どこからかアンコールがかかった。

アンコール?



「…用意…してないですよね?」



音響担当をしている先輩社員に尋ねると、無理無理と首を激しく振った。

……どうしよう。


何気なくステージ上を見回すと、端の方にポツンと置かれた電子ピアノを見つけた。



「これ、使えます?」



旅館の人に尋ねると、今度は大丈夫だと必死に首を縦に振る。

よし、これだ!


音を確認したら大丈夫そうだし。マイクをセットして…、うん、いける!


曲はピアノの弾き語りで、クールダウンのつもりで、バラードをセレクトした。
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