雪女の初恋

保健室で


【柚実】

ガラガラ。
ゆっくり保健室の戸を開ける。
まだ、川瀬は来てないみたい。
なんとなく、ほっとした。
ていうか…何気なく来たけど…もてあそばれてるだけなんじゃ…。
うん。帰ろう。そう思ったとき。

「ちょ…川瀬ぇ!どこ行くの!まだ、途中じゃん…っ。」

「悪ィ。先約あんだよ。さっさと服着て、出てけ。」

「なんでよぉ!バカっ…!もぉ、知らない!」

乱れた服装でベットから」出てきたのは同じ学年の女の子だった。
その子は、わたしをニラんで泣きながら、保健室を出て行った。
うっわ…嫌な予感しかしない。

「やっぱ、雪女か。んで、返事は?…まさか、嫌だとか言わねぇよな?」

わたしは、首を横に振った。
もちろん、拒絶の意味で。

「…ふぅん。お前さ、この状況分かってねぇだろ。」

…状況?
わたしが、突っ立てると…。

「こういうことだよ。」

慣れた手つきで、わたしをベットに押し倒す。
わたしは恐怖で動けなかった。
そして、わたしにどんどん近付いていって……

キス…された…?
やだ…気持ち悪い…っ。

「…んん…ん……はぁ。お前…マジで感情ねぇのな。」

川瀬が、ため息をつきながら唇を離す。
ため息つきたいのは…こっちだよ。

「もーいいや。つまんない。出て行って。」

なんなの…この男。
人にキスしといて…出て行って…とか。
ひどすぎる…。

わたしは、早歩きで保健室を出て行った。
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop