王に愛された女 番外編





 庭に出ると、大きな丸い月が空に輝いていた。

「神様…どうかあの手紙の内容が嘘でありますように…」

 クリスティーヌは胸の前で手を合わせ、神に祈った。

 その時だ。

「クリスティーヌ、ここにいたのね」

 母の声が聞こえた。

「お母様…」

 クリスティーヌは母を見た。

「早くご飯にしましょう」

 正直、ご飯を食べる気分ではなかった。

 死ぬかもしれない。

 という恐怖が胸の中を覆い尽くしている。

「…う、うん…」

 クリスティーヌはぎこちない笑みを浮かべ、返事をした。

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