素敵彼氏の裏の顔
兄妹の苦悩
次の日の朝……。
隼人があたしを迎えにきてくれた。
久しぶりに見た、ごく普通の黒いバイクで。
「かっこ悪いけど我慢してね」
そう言って、慣れた手つきで荷物をバイクにくくり付ける。
隼人と手が触れ合うたびにドキドキして、にやけてしまうあたしがいた。
夢だったんだ。
大好きな人と祭りに行くことが。
一緒に歩いて、お揃いのお面なんて付けたり、たこ焼きを食べたりして。
ただ、バイクに乗ることを考えて、可愛げのないジーンズ姿にしてしまったあたしに嫌悪感を覚えた。
「あーあ……浴衣を着れれば言うことないのに」
思わず呟いたあたしに、
「ほんと?」
真に受けてしまう隼人。
少し困った顔をしながら、
「じゃ、妹に頼んでみる」
なんて言う。
「茶道もしていて、着付けも出来ると思うから」