素敵彼氏の裏の顔
お気に入りのワンピースを着て、髪をゆるく巻いた。
ナチュラルに、だがしっかりとメイクをした。
鏡の前のあたしは、いつもよりも気合いが入っていて。
いつもより、少しだけ明るい顔をしていた。
あの後、隼斗はあたしを家まで送ってくれた。
そして、上がろうともせず当然のように帰っていった。
あわよくばなんて考える男もいるだろうに。
なのに、紳士的に振舞った隼斗に、さらに好感を抱いてしまうのだった。
いや……
好きなのだろう。
少しだけ、だけど。
こうやって、ゆっくり淳ちゃんの記憶から卒業していこう。
そう思う反面、隼斗に彼女が出来たら……なんて考えると、いても立ってもいられなくなる。
あたしはまた、寄生虫のように隼斗に付きまとうことになるのか。
それはいけない。
隼斗の優しさに甘えてはいけない。
それだけは、しっかりと理解したつもりだった。