素敵彼氏の裏の顔




「おはよう、美優」




穏やかな口調でそう言う隼斗。

心がほんわりと温かくなる。




「おはよ……」




挨拶を返すと嬉しげに微笑む隼斗。

その細められた瞳、優しげに歪んだ口を見ると心の奥底の氷が融けていくみたいだった。






改めて隼斗を見る。

清潔なシャツに、細身のジーンズ。

そして、グレーのジャケット。

首元にはストールを巻いていて、あぁ、おしゃれだなと思う。

こんなイケメンでおしゃれな隼斗と歩くと、あたしが浮いてしまうのではないかという錯覚に陥る。

そんなあたしの胸の奥底なんて知らないのだろう。





「行こう」




隼斗はあたしの手を握り、引っ張った。







ドキドキドキドキ……



鼓動がいつになく速い。

止まってしまうのではないかと思うほど。

顔がかぁっと熱くなり、胸がキュンと疼く。

あぁ、何かの魔法にかかったみたい。

あたしの全身が、甘く切ない悲鳴を上げている。





これは隼斗に対してだよね?

淳ちゃんではなく、隼斗だよね!?


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