素敵彼氏の裏の顔
むしろ、犠牲者の大切な人が……
「美優……」
俺はその愛しい名前を呼んでいた。
その名を呼んだ瞬間、胸が痛くなる。
彼女に会いたくて仕方がない。
そのふにゃっとした笑顔、
一途な瞳。
人を愛しいと思ったのは初めてだった。
そして、彼女の前ではトラウマにさえ打ち勝つことが出来そうだった。
美優に会いたい。
その柔らかな身体を、ぎゅっと抱きしめたい。
それなのに……
目の前にいる美優は、泣きそうな顔をしていて。
どうしてそんな顔をしているの?
俺でよかったら、力になってあげたい。
そう思ったとき……
「行かないで…」
弱々しい声で俺に告げる。
「隼人……行かないで……」