素敵彼氏の裏の顔
「待たせてごめんね」
何事もなかったかのような、穏やかな隼斗の声があたしを刺した。
怖い……。
身体を震えが走る。
隼斗は羊の皮を被った狼だ。
いまだにうなされる、あの悪夢の正体だ。
あの冷たい瞳で睨まれた時、あたしは全ての希望を捨てた。
何の感情もない、冷たい冷たい瞳だった。
恐る恐る隼斗を見上げる。
隼斗はやっぱりいつもの笑顔で。
「……淳ちゃんは?」
嫌な予感がしてそう聞くと、
「彼は待ち合わせがあるみたい」
穏やかな声で隼斗は答えた。