素敵彼氏の裏の顔
淳ちゃんが貼ってくれた絆創膏が剥がれ落ち、雨とともに血が滴り落ちている。
それを庇うように身をかがめ、傷口を拭こうとティッシュを出した時だった。
「貴様、何してる」
低い声が聞こえた。
思わずびくっと飛び上がる。
「女か?
……ちょうどいい。
急遽ボスが来れなくて暇だった」
もう一つ、すぐ後ろで新たな声が聞こえる。
明らかにガラが悪い声。
ヤンキー淳ちゃんと一緒にいたあたしは、声色で大体の人物が判断出来るようになっていた。
だけど、護身術なんて何一つ身につけていないあたし。
金縛りに遭ったように動けなくなり、その場にしゃがみ込んでしまった。
……あの時と同じ。
神木と会った時と同じだった。