哀しみの音色
「暗いねー」
頼んでいたコーヒーが届くと、浩介さんは苦笑しながら言う。
俺は慌てて、「そんなことないです」と否定した。
だけど浩介さんはそのまま苦笑しながら
「……知っちゃったんでしょ?
莉桜の元彼の姿」
「……」
今一番触れてほしくないことを、突っ込んできた。
俺は何も言えず、ただうつむいた。
「やっぱショックだよな……。
自分が元彼に似ているなんて……」
「……」
「正直、俺もすげぇ驚いた。
お前に初めて会ったとき、あまりにも蓮にそっくりだったから……」
浩介さんは煙草を取り出すと、カチッと火をつけた。