またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜


「え?…いいよ。伊月風邪引いちゃう…あたし戻るし…」


あたしは慌ててジャケットを伊月に押し返す。


すると伊月は怪訝そうな表情であたしを見つめた。


「お前に拒否権なんてねーよ。ってかお前に心配されるようなヤワな身体じゃねーから。」


伊月はジャケットをひったくるともう一度あたしの肩にかけた。



「でも、戻らないと…」


「お前はここにいろ。」


そう、静かに伊月は言った。


俺様なヤツ。

拒否権ってあたしはあんたのしもべかよ。

伊月にかりたジャケットは伊月の体温で暖かかった。

ふとその後姿を見つめた。


そして緒形が言っていた言葉が脳裏に過った。


「……ねぇ、伊月。」


「ん。」




「伊月さ……卒業したら……」


外国行っちゃうの?

そう言いたかったのに最後の言葉がなぜか口に出せなかった。






< 282 / 361 >

この作品をシェア

pagetop