不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
前までは意地悪な奴だとしか思わなかったのに。
「わかったよ」
不意に聞こえた愛翔の低い声。
ビックリして思わず肩を震わせた。
「そんなに嫌なら自由にしてやるよ」
感情のない声で言われて恐る恐る顔を上げた。
そこには無表情にあたしを見つめる愛翔がいて。
「じゃあな」
あたしから離れると、愛翔は一度も振り返ることなく去って行った。
その背中を見ているととめどなく涙が溢れて来て。
その背中に声をかけることも追いかけることも出来ずに、ただ呆然と突っ立ったまま涙を流した。