大人の純愛宣言
私はまだ体調がすぐれないふりをしていた。
悠君はキッチンでなにやら料理している。本当に大人になったんだとおかしくなった。手際が良いようで、私がリクエストしたミネストローネを作ったようだ。

そしてテーブルに運んできて、
「どうぞ、リナちゃんのために作ったよ」とちょっと緊張気味のようだ。

私が食べるのをじーっと見ているから、「あまり見ないでよ!もぅ」と言ったが、それでも見ているからおかしくてなかなか一口目を運べない。

ようやく一口目を口に入れると、おいしくて何だか懐かしくて…
そして彼の目がなんだかくすぐったくって…幸せってこういうことなのかななんて思ってしまった。

「うん、おいしい!」

そう言ってペロっと食べてしまった。

彼は片付けまでして、私は図々しくテレビを見て・・・
食後のお茶まで用意してくれた彼。





お茶を飲みながら彼が

「大丈夫か」と聞いて来て、私が大丈夫だと答えると、時計を見た。まだ21時過ぎだったけど…彼は、ゆっくりと立ち上がって、

「ゆっくり休めよ、またメールするよ」と告げて、帰り支度をしていた。





「ずいぶん大人になったね、悠君」
彼の背中に向かって、そう言ってみた。

ビックリしたように振り返った彼は、目を見開いて笑った。
「思い出したのかよ!」と。

「苗字が変わったから、一瞬戸惑ったけど…あの時のリハビリさぼる悠君だよね。忘れたことなんかなかったけど、ずいぶんふてぶてしくなったよね!」と笑った。

悠君は嬉しそうに私に抱きついて来て、

「あのときの約束、覚えてる?」

と興奮気味に聞いてきた。

覚えているよ…

そういう思いで、悠君にしっかりと抱き返した。








あなたの気持ちが本物だって、私は信じたい。

「今日泊まっていっていいすか!?」
と私の顔を覗く彼。

「ダメです!ちゃんとおうちで寝てください」と笑った。
ブーブー言いながら、帰っていった彼をベランダで見ていた。振り向いて、寒いから部屋にもどれよと言う彼。

見ていたいんだから…いいの!と笑うと、彼は照れたのか、ちょっと顔を赤くして手を振って走っていった。

しばらくは求められていたい気持ちが大きくて、つい拒んだけど。
もうしばらく待って…


あなたが私を見つめてくれていたように、私も大人になった悠君を見つめてみるから。






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