ありがとう。
2人の願い






「ねえ、そういえばどうしてあの場所がわかったの?」



白鳥に聞かれたのは、美喜の病院へ向かうバスの中だった。




「そうだよ!向日葵に夢中になってて忘れてたけど。」



同調するように興奮気味に話したのは、もちろん長谷川だ。




「それに、何で向日葵を一本しかもらって来なかったんだ?

もっといっぱいもらえば、美喜ちゃんだけじゃなくて、俺らも一緒に美喜ちゃんの病気が治るようにって願えたのに・・・。」



当たり前の疑問を勝利が俺に尋ねた。




「わかってる。美喜の病気を治すことに俺たちだって願う方がいいんだってこと。」




だけど、俺はどうしても美喜だけにしたかった。




伝説の中で、彼は愛する彼女にだけ向日葵渡した。




きっと俺をあの場所に導いたのがその “彼” だと思うから。



彼と同じようにしたかった。





それで、最後の結末だけを変えたかった。




彼女の運命を変えたかった。








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