溺愛マイヒーロー
──それに、さっき見た、あの光景。



『……あれ? まだ残ってるヤツいんのか?』



部活が終わりユニフォームから制服に着替え、自分が最後だと思っていたのに。

明かりのついた小屋の中に声をかけようとしたら、そこには琴里と、ヒロのふたりがいて。

……あんなのは、今まで何度も見てきたはずだった。

中学から一緒の俺と琴里はよく話すし、それはヒロだって同じだ。


それなのに、ふたりで話しながら、楽しそうに笑ってるのを見て。……『辻くんみたいな人をすきになればよかったのかな』なんて言ってるのが、聞こえて。

頭に、血がのぼった。


やっぱり琴里には、すきなヤツがいる? だけどソイツのことは、諦めようとしてる?

そして最終的には、ヒロを?


なんだよそれ、結局は俺だけ除け者?

いつも一緒にいた。その時間は、何物にもかえられないと思ってた。



「──ッ、」



……許さない、渡さない。

琴里は、俺の──……。


……俺、の?
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